合格体験記
まずは俺がどのような前提でどのように合格に至ったかを紹介する。
受験時の年齢:20代後半
勉強期間:CFP(2課目ずつ受験し、毎回数日)、1級(CFP合格後のためゼロ)
勉強時間:100時間前後(2級合格・AFP登録後以降の勉強時間)
学習方法:独学(参考書購入)
前提知識:AFP(2級FP技能士)
俺は新卒で証券会社に入社した。リテールの営業マンで、いわゆるソルジャーだ。
ソルジャーはあまり勉強することもないのだが、入社して支店に配属された後、最低限の知識ということで2級FP技能士(AFP)を取らされた。
その後、CFPの科目を2課目取ったところで証券会社を退職した。
もはやもうどうでも良かったが、親戚に「石の上にも3年だ!3年は働いてから辞めないと社会人としてなんやらかんやら・・・」と言われつつも2年弱で辞めてしまった反省から、リテール証券マンの卒業試験と位置付けて趣味レベルで勉強を続けることにした。
FP技能士1級とは?
どんな試験?
厚生労働省管轄の技能検定制度のうちの1つで、合格すると「技能士」を名乗ることができる(名称独占資格)。国家資格である。
厚生労働省から認定を受けた民間の試験機関が実施しており、顧客の資産等の状況の収集・分析・相談に必要な知識を問われる試験が実施される。
受験のためにはCFP合格や2級合格・実務経験などの受験資格あり。
詳細は「一般社団法人 金融財政事情研究会」または「日本FP協会」のWebサイト参照。
一般社団法人 金融財政事情研究会
https://www.kinzai.or.jp/ginou/fp/sikaku.html
日本FP協会
https://www.jafp.or.jp/exam/1fp/
どんな人が受けるの?
銀行・証券会社・保険会社・不動産会社に勤務している人がメインの受験者層。時々、税理士もいる。
つまり、個人や中小企業相手に金融系の営業とかアドバイザリーをする仕事の人ってことだな。
混乱する要素満載のFP試験
FPを受ける人が混乱する要素として、主催団体が「日本FP協会(協会)」と「一般社団法人 金融財政事情研究会(きんざい)」の2団体あることと、3級・2級・1級の他にAFP・CFPがあることが挙げられる。
主催団体が2つとか意味わからないんだけど?
主催団体については、現行のFP試験ができる前に協会はAFP・CFP試験、きんざいは金融渉外技能審査という試験をそれぞれの団体が独自に行なっており、FP技能士の国家資格が誕生する際に当該両団体が主催団体となったためだ。つまり、1つの資格を取得するための試験を2つの団体が別々に運営しているのだ。
合格率
合格までの道のり
FP技能士1級に合格するためには協会の実施するCFP資格審査試験に合格し、その後1級の実技試験に合格するか、きんざいの1級学科試験に合格し、その後1級の実技試験に合格する必要がある。
CFP試験・きんざい1級学科試験が本丸
CFP試験の各課目の合格率は30%〜40%程度だ。
きんざい1級学科試験の合格率は10%程度だ。
CFPは合格率が高いが、6課目に合格しないといけないので、一発合格するとなると各段に合格率は下がるだろう。
なお、ここを突破すればほぼ合格と言って差し支えない。
実技試験はオマケ
FP協会の2019年1月実施1級FP技能検定実技試験 (資産設計提案業務)の合格率は驚異の100%!
100%ってww
一方、きんざいの2019年6月実施の実技試験(資産相談業務)の合格率は85.69%だ。
意味が無いのでやんなくていいんじゃないの?としか思えないが、受験しないと資格がもらえないので仕方がない。
AFP・CFPとは一体なんだ!?
FP技能士の3級・2級・1級という国家資格とは別に、前述のAFP・CFPという資格が存在している。
協会は技能検定の他に「AFP認定研修」、「CFP資格審査試験」を行なっており、これらを突破すると技能士とは別に協会の民間資格であるAFP・CFPが与えられる。
実質的にAFPは2級と同列、CFPは1級と同列という位置付けだが、世間的にはAFPとCFPのどっちが上なのか、そもそも資格名称であることすら伝わっていないのが現状だ。
協会も駅のデジタルサイネージとかにCFPを「家計のホームドクター®」なんて銘打って広告を出しているけど、きっとみんなお気づきではないだろう。
「ファイナンシャルプランナー」という名称が一般化しすぎて、国家資格の「技能士」ですら理解されない中で、「級」すら示されていないAFP・CFPを浸透させるのは難儀だろう。
結局、何を取ったら良いの?
最終的に目指すところは1級かCFP又は両者の取得になる。
一般的なイメージとしては3級→2級→1級と取り進めるルートと、3級→2級→AFP→CFP→1級というルートが多いだろう。前者はきんざいルートで、後者は協会ルートだ。
俺の場合は協会ルートを選択したが、これは勤務先の要請でAFP取得はマスト項目であったためAFPを持っていたこと、CFP経由だと少しずつの勉強の積み重ねで1級を取得できることが理由として挙げられる。
どのルートを選ぶか
忙しいならオススメはCFP
CFP試験に合格するためには、AFP登録しCFP資格審査試験の全課目に合格する必要がある。
課目は下記の6種類。
- 金融資産運用設計
- 不動産運用設計
- ライフプランニング・リタイアメントプランニング
- リスクと保険
- タックスプランニング
- 相続・事業承継設計
年に2回試験があり、全課目受験することも可能だし、1課目だけの受験も可能である。
自分の例だと1課目10時間〜20時間くらいの勉強で合格した。
例えば6回に分ければ、仕事をしながらでも余裕を持って合格することができるだろう。
とは言え、各科目について試験で問われる内容の詳細さは2級FPに比べてそこそこ深いものとなる。そのため、全課目に1回で合格するのであれば、集中して勉強する必要がある。
また、きんざいルートだとCFPを踏まえずに1級FPの受験となるが、こちらは課目ごとの受験ではなく、全課目が一体化した試験なので、CFP全課目一括受験と同様に集中した勉強が必要になる。
CFPから1級取得
CFPを取得すると、1級の学科試験が免除となり、あとは実技試験を受ければ1級資格が得られる。実技試験についてはきんざいも協会も合格率は9割弱となっており、落ちる試験ではない。
そして前述の通り、2019年1月実施の協会の実技試験の合格率はなんと100%という衝撃の結果だ。
つまり、CFPの取得はほぼ1級の取得に同義なのである。
きんざい派からのディス
ネットの掲示板や知恵袋を見ていると、きんざい派からすると、協会1級は1級にあらずのような論調が目立つ。
確かにきんざいで取るなら学科は1回の試験で全分野を問われるので協会より準備が大変なのだろう。
じゃあ協会じゃなくてきんざいで取った方が良いのか?
結論を言うと、「どっちでも同じ」だ。
どちらのルートであれ同じ資格だし、資格の知名度的にも、どちらの1級を持っているかなんて誰も全く気にすることはない。
どっちみちそこまでのレベルじゃないし、難しいアピールをする人は勉強が出来ないだけなのでスルーしよう。
そんなことよりも、どうやって学んだ知識を役立てるかを考えた方がよっぽど有用だ。
どうやって勉強するか
CFP試験は協会の過去問だけでOK
協会の発行する「CFP資格審査試験問題集」という薄い問題集を過去2回分購入し、回答の理屈まで網羅的に理解するという作業のみを行なった。これだけで合格水準に達することはできる。
日本FP協会
解答を読んでも理解できない場合は1級のテキストなどを用意しておいて辞書的に利用できる状態にしておくと良いだろう。
また、1級の実技試験は協会のものを受けたが、何も準備しないで試験に行ってCFP試験で得た知識を元に回答しただけで合格した。実技試験は形式的なものにすぎず、CFP課目さえ取り終えれば、1級も取ったようなものだ。
CFP試験は直前の勉強でも大丈夫!
俺の場合は最大2課目の受験を繰り返して全課目合格に至った。
受験課目が1課目だけの時なんかは試験の前の週の週末(土日)から勉強し始めて、平日2時間、当日は4時起きで受験地の近くのカフェでギリギリまでインプットして合格なんて時もあった。
勉強期間は受ける課目数次第だが、こうやって少しずつ合格していくことも可能だ。
合格とその後
資格の使い道
FP試験を通して勉強した内容は基本的に自分のライフプランニングにも使えるので、自分の人生を考える上でもかなり役に立つ。
また、自分だけでなく親や他の身内にもアドバイスしてあげられたりする。
仕事で使うか否かに関わらず、長期的に人生の役に立つ資格である。
会社での評価は?
前に所属していた証券会社ではすべての営業マンの目標として掲げられていたものの、1級・CFPまで取っている人は全然いなかった。
理由としては、持ってないと出来ない業務がある訳ではないので目指す人がそもそも少ないからだ。
やはり営業マンは営業成績が全てであって、資格を持っていても正直名刺の飾りだったり昇進のための資格ポイントになるというくらいだ。
別部隊で富裕層にアプローチする税理士集団がいたのだが、資格で食うというのであれば、それくらいの専門性が必要なのだろう。
資格を持っているからどうだとかは抜きにして、勉強を通じて得た知識をもとに質の高い提案に繋げられれば、それが真の意味で資格を活かすということになるだろう。
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