投資と資本の相殺消去が必要な理由
連結会計では、親会社の財務諸表と子会社の財務諸表を合算して表示することとなるが、その際に親会社が持っている子会社株式と子会社の資本は相殺消去することが必要になる。
これを、投資と資本の相殺消去という。
なぜならば、相殺消去しなければ、子会社の資本とそれに対応する資産が二重計上されてしまうからだ。
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そう。
参考書にはこんなふうに書いてあるけれど、初見だと何が二重計上なのかよくわからないので、具体例を見てみよう。
具体例
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まず、こんな感じで親会社と子会社の貸借対照表があるとしよう。
単純化のために子会社は100%保有の子会社で、純資産項目は資本金のみとする。しばしば連結会計の参考書で多用される諸資産・諸負債という表現は抽象的すぎてイメージが掴めなくなるので、敢えてバラバラと勘定科目を書きまくった。
そのまま親会社の借方と子会社の借方、親会社の貸方と子会社の貸方を合算すると右端の連結貸借対照表になる。
この連結貸借対照表の「子会社株式400」と、「資本金800のうち400」が二重計上だというのである。
勘定科目がいっぱいあってゴチャゴチャしていてピンとこないと思うので、もう少し簡単にしてみよう。
単純化するために、親会社が100%保有の子会社を設立し、その子会社株式しか持っていなくて、子会社も出資されたままの状態を想定する。
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当初、現金預金400を親会社の資本金として創業し、その金をそっくりそのまま使って子会社を創業した。
そうするとその投資額400が子会社の資本金になる。
これを単純合算すると、連結貸借対照表の総資産が800、資本金が800になる。
すると、元々400しかなかった資産・資本が、それぞれ800になってしまっている。
これが二重計上になっているという意味だ。
そのため、資本金400と子会社株式400を相殺消去することで、実態の残高を表すことになる。
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改めてゴチャゴチャした事例に戻ると、上記の青枠のように相殺消去がなされることになる。
そして投資と資本の相殺消去仕訳を入れると、どうなるか。
上記を見てわかる通り、結果的には親会社が保有する子会社株式400が、子会社の保有する資産・負債(現金100、売掛金100、工具器具備品100、機械装置200、借入金100)に展開されて表現されることになる。
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すなわち、子会社の保有する資産と負債の差額、現金100+工具器具備品100+機械装置200−借入金100=400が、親会社の保有する子会社株式400の金額と一致する。
まとめ
投資と資本の相殺消去を行なうと、親会社の貸借対照表+子会社の具体的な資産負債項目(=親会社の保有する子会社株式)となる。
なので、投資と資本の相殺消去と聞いたら、
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と思っておこう。
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