この記事では掲題の内容を解説するが、以下の書籍の内容を参考にしているので、併用することを勧める。
HIPHOPのビートを作りたい
筆者はHIPHOPのビートを作成したいと思い、MPC ONEを購入して作曲活動を始めた。
MPCはスタンドアロン(その機材単独)で駆動するため、難しいDAWソフトの利用は一旦後回しにして、MPCを叩いて直感的に作曲を始めることができる。
いずれはJ DillaやNujabesのような音を作れるようになりたいが、筆者は音楽の経験は全くないし、筆者の周囲にわかる人もいない。
そのため、同レベルからスタートする人の理解に資する記事になると考えられる。
コード(和音)とは?
コードとは和音のことである。
和音とは、複数の音程の音が同時になっている状態のことである。
コードには色々な組み合わせがあり、それによって明るい音に聞こえたり、暗い音に聞こえたりする。
そして、様々なコードが時系列に鳴らされることにより曲の展開が決まることになる。
これをコード進行と呼び、絶対的ではないが一般的に「こういう順番に鳴らすとこういう風に聞こえる」というパターンがあるので、これを理解することでより表現の仕方が広がり、自由に作曲を行うことができるようになる。
HIPHOPのビートにおいてはサンプリングした音ネタとドラムを重ねてループ(同じパターンの繰り返し)をするだけでも曲になることもあるが、どうも単調になってしまう。
筆者もなんとか音楽理論なしで作曲しようと、展開をつけるために曲の冒頭はドラムを全部ミュートにして、ハイハットから順番に全部鳴らしたりと色々と試行錯誤してみたものの、どうも面白くなくて1シーケンス作っては消し、また1シーケンス作っては消しの繰り返しになって飽きてしまった。
もちろん楽曲の要素はコード進行のみならずドラムビートやベース、ヴォーカル(リリックやライムなど)色々な要素があるが、今回は曲の雰囲気と展開について重要な要素を担うコード理論の基礎について学習してみよう。
コードを覚えよう
ギターを嗜んでいる人は、Fコードが最初の壁だという。
Fはドレミファソラシドでいう「ファ」であるが、ギターでは5本指すべてを使って弦を押さえる必要があるので、これで挫折する人が多いようだ。
DTMにおいては構成音さえ知っていれば音が出せなくて困るということはないので、そのような挫折はない。
これからコード進行を学習するにあたり、まずはどういうコードがあって、それがどういう音なのかということを覚えてしまおう。
以下にボイシング(音の配列)の画像と実際の音をテキストの順番と同様に貼り付けていくので、しばしば音を確認することでコード名を見るだけで音を想像できるようになろう。
キーはCで、三和音(構成音が3つ)、四和音(構成音が4つ)について記載する。
なお、音の印象など、より詳細な解説は参考図書を参照することで得られるので、冒頭で述べた通り併用すると良いだろう。
三和音(トライアド)
トライアドは3つの音で構成されるコードのことであり、3度ずつ離れた音を重ねることとなる。
3度の長短と5度の増減があるので、2×2=4となり、一般的にはトライアドはメジャー、マイナー、オーギュメント、ディミニッシュの4種類と言われるが、ここでは3度を4度に変更するサスフォーも含めて5種類紹介している。
トライアドは明確で安定感のある響きであると言われている。
C(メジャー・トライアド)
root-M3-P5
明確な明るい響き。
Cm(マイナー・トライアド)
root-m3-P5
明確な暗い響き。
Cdim(ディミニッシュト・トライアド)
root-m3-dim5
暗い響き。
Caug(オーギュメンテッド・トライアド)
root-M3-aug5
明るい響き。
Csus4(サスフォー)
root-P4-P5(マイナー・トライアドの3度の音が半音吊り上げられ(Suspended)4度となっている。)
曖昧な響き。
四和音(テトラッド、セブンス、シックスス)
テトラッドは4つの音で構成されるコードのことであり、3度ずつ離れた音を重ねることとなる。4つ目の音が7度の距離であるものはセブンスと呼ばれる。4つ目の音が6度の距離であるものはシックススと呼ばれる。
3和音に比べて不安定で浮遊感があると言われている。
C7(ドミナント・セブンス、セブンス)
root-M3-P5-m7
メジャー・トライアドに♭7thを加えたもの。
C△7(メジャー・セブンス)
root-M3-P5-M7
メジャー・トライアドに7thを加えたもの。
C6(シックスス)
root-M3-P5-M6
メジャー・トライアドに6thを加えたもの。
Cm7(マイナー・セブンス)
root-m3-P5-m7
マイナー・トライアドに♭7thを加えたもの。
Cm△7(マイナー・メジャー・セブンス)
root-m3-P5-M7
マイナー・トライアドに7thを加えたもの。
Cm6(マイナー・シックスス)
root-m3-P5-M6
マイナー・トライアドに6thを加えたもの。
Cm7(♭5)(マイナー・セブンス・フラットファイブ)
root-m3-dim5-m7
ディミニッシュト・トライアドに♭7thを加えたもの。
Cdim△7(ディミニッシュト・メジャー・セブンス)
root-m3-dim5-M7
ディミニッシュト・トライアドに7thを加えたもの。
Cdim7(ディミニッシュト・セブンス)
root-m3-dim5-dim7
ディミニッシュト・トライアドに減7度の音を加えたもの。減7度=長6度となる。以下の場合は、B♭♭であり、実質Aである。
Caug7/C7(♭13)(オーギュメンテッド・セブンス/セブンス・フラットサーティーンス)
root-M3-aug5-m7
オーギュメンテッド・トライアドに♭7thを加えたもの。またはドミナント・セブンスの5度の音を半音上げたもの。
Caug△7(オーギュメンテッド・メジャー・セブンス)
root-M3-aug5-M7
オーギュメンテッド・トライアドに7thを加えたもの。またはメジャー・セブンスの5度の音を半音上げたもの。
C7sus4(セブンス・サスペンデッド・フォース、ドミナントセブンスサスフォー)
root-P4-P5-m7
ドミナント・セブンスの3度の音を、4度に吊り上げたもの。
最後に
今回取り上げたコードは基本的なものであり、この他にも9度以上の音程を付け足すというテンションという概念もある。
また、この後には今回学習したコードを一定の順序に並べてコード進行を作り、表現したい雰囲気を作り込むという作業がある。
コード理論の解説については別途、更に深く解説された専門書を利用して改めて紹介しようと思う。
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