日本でのIEO第1号案件であるPalette(パレット)のホワイトペーパー(White Paper)を10分で読めるサイズに要約した。
なお、参照したVersionは1.0である。
プロジェクトが作成した上掲のホワイトペーパーを是非読んでみてほしいところであるが、時間がない人やなんとなく理解したい人は当該記事を参考にしてほしい。
01|要約
- パレット(Palette)はNFTのためのブロックチェーン
- パレットはイーサリアム(Ethereum)と接続可能
- パレットトークン(Palette Token,PLT)を発行
02| プロジェクトについて
- 日本のコンテンツをNFTで活かしたい
- デジタルアイテムをNFTを使って発行すると、①データの唯一性②安全で透明性のある二次流通③サービス間での相互利用の3つの特徴を獲得できて、新しいネットワークと価値観が提供できる
- NFTの発行・販売プラットフォームを整備することで市場を拡大したい
03|課題とソリューション
- 課題①: イーサリアムのガスは不安定
- ソリューション①:パレットはエンタメ領域に特化しておりDeFiなどの高単価・高頻度トランザクションのアプリケーションがないのでガス代が安定的
- 課題②:そもそもNFTのユーザー体験にガスは不要
ソリューション②:ユーザーはガス不要とする - 課題③:クロスチェーンインフラが不足
ソリューション③:Poly Networkを利用してイーサリアム、ネオ、オントロジーなどと接続 - 課題④:イーサリアムは広範なアプリケーションの存在により特定の領域に特化したブロックチェーンの設計の更新や機能の追加が困難
- ソリューション④:中央集権的なコンソーシアムながらも、それぞれのメンバーが分散的にガバナンスを行う
04|プロジェクトの全体像
- コンテンツホルダーはパレットでNFT発行可能。手数料として$PLTでガス支払が必要
- ユーザーは法定通貨か$PLTでNFT購入可能
- ユーザーは$PLTでガバナンスに参加可能で、参加報酬として$PLT獲得可能
- ガバナンスは$PLTを特定のノードに委任(ロック)することにより行う
- コンソーシアムはノード運用報酬としてガスと報酬プールに保管された$PLTを獲得
- ノード運用報酬は委任された$PLTの量に応じて増加
- コンセンサスアルゴリズムはPOA(Proof of Authority)
- ユースケースとしてはマンガ領域に特化したコミカブ(Comikabu)のテストプロダクトを2020年5月にリリースした
- アプリケーション構築のためのグラントプログラムがある
05|技術仕様
- パレットはQuorumで構築されたコンソーシアム型のプライベートブロックチェーン
- ノードをコンソーシアムに限定することで高速処理
- ノードはローンチ当初に10以上を予定
- エコシステム報酬に$PLT総発行量の34%(340M$PLT)が割り当てられ、6年間をかけてブロック生成ごとに一定量がアンロックされ、コンソーシアムメンバーとユーザーに分配される
- 報酬プールの分配はコンソーシアムメンバーが80%、ユーザーが20%の割合
- NFTコントラクトのデプロイ、NFTの発行はガスが必要
- ユーザー報酬配布対象は長期的には自動化の予定だがエコシステム構築初期段階においてはHashpaletteまたはパレットコンソーシアムにより検討・配布が行われる
- 委任報酬はコンソーシアムメンバーが0%から100%の間の範囲で任意に決定可能
- 各コンソーシアムメンバーが委任を受けることができる$PLTの量は、自身でロックアップを行っている量の最大4倍まで
- パレットチェーンに対するコンソーシアムによるガバナンスと、$PLTの追加発行に対する$PLT所有者によるガバナンスの2種類がある
- パレットチェーンに対するガバナンスはガス手数料体系変更などで、コンソーシアムの2/3以上のメンバーの承認で可決する
- $PLTはERC20で全数量の10億PLTがローンチ時に発行される
- $PLTは6年間で全数量のロックが解除され、この時点で$PLT所有者による新規発行の提案・投票による承認が可能となり、$PLT保有量に応じた投票権に基づいて2/3以上の賛成により承認される
- Poly Networkを利用してイーサリアムと接続を行う
- ユーザーはイーサリアム上の$PLTをロックし、リレイヤーがポリチェーンを介してパレットチェーンで同数の$PLTを発行する仕組み
- パレットチェーンで作成したNFTをイーサリアム上で発行することもできるので、miimeやOpenSeaで取引することもできる
- $PLTはユーザー数、コミュニティの活発さ、アプリケーション開発状況、開発環境の整備状況を鑑みてイーサリアムを採用した
- パレットチェーンに対しては①NFT発行手数料支払②ノード運用報酬支払③コンソーシアムメンバーへの委任
- パレットチェーン上のアプリケーションに対する$PLTのユーティリティは、①NFTの購入②$PLT保有による権利の付与③サブスクリプション決済
- NFTの発行量が増加すれば報酬プールの歳入が増加するが、当初は当該相当額をIEOで得た収入から支払う検討をしている
- コンソーシアムメンバーは委任報酬の分配係数を調整して競争するインセンティブがある
- パレットチェーン上で構築されるサービスの決済にはクレジットカードなどの日本円決済と$PLTを利用することができるが、$PLTであれば手数料がかからないため、クレジットカード決済時に比べて割引率を設定することができる
- パレットチェーン上のアプリケーションでは$PLTの保有者に対して、NFTの先行販売へのアクセス権、コミュニティ投票などの特定の権利付与可能
- パレットチェーンにはイーサリアムのERC721と同様の規格としてPRC (Palette Chain Request for Comments)721があり、当該規格にてNFTの発行を行う
- パレットチェーン上のアプリケーションはDEXやコンテンツホルダーによるアプリケーションなどを想定しており、グラントプログラムで開発費のサポートを行う予定
- パレットチェーン内ではユーザーはガス代を支払うことがないので暗号資産不要、秘密鍵管理も不要でNFT取引可能
06|PLTについて
- $PLTは改正資金決済法2条5項1号が」定めるいわゆる「1号暗号資産」
- $PLTの販売はCoincheck IEOにて実施
- IEO販売枚数は230M枚(総発行枚数は1,000M枚なので23%が対象)
- 2021/7/1 購入申込み開始、7/15 購入申込み終了、7/20 抽選および$PLT受渡し、7/27 Coincheck上場
- $PLTのアロケーションは以下の通り
07|ロードマップ
- 2020/11よりクローズドテストを開始
- 2021/3より12社でテストネットを運用
- 2021/8にメインネットリリース
08|チーム
- 株式会社HashPort(代表取締役:吉⽥ 世博氏)と株式会社Link-U(代表取締役社長:松原 裕樹)によって共同設立された株式会社Hashpalette(両氏が代表取締役)がプロジェクトの運営主体
コメント