C.R.E.A.M. Financeは、Compound Financeのフォークに基づく、ブロックチェーンに依存しない分散型のPeer to Peerのレンディングプラットフォームである。
C.R.E.A.M.と聞くとWu-Tang Clanを思い出すが、公式のMediumを参照するとCrypto Rules Everything Around Me(C.R.E.A.M.)と記載されており、Wu-Tang ClanのC.R.E.A.M.のリリックであるCash Rules Everything Around Me(カネがすべてを支配する)を現代的に発展させた?ものが語源となっているようだ。
レンディング(貸付)という名称ではあるものの、以下を読み進めれば気づくだろうがメインは借入なのである。
以下では公式のMediumを参考に若干の解釈を加えて解説する。
暗号資産を借りる
初めてレンディングサービスを見ると、暗号資産の貸付については利息を得るための投資として理解できるが、暗号資産を借り入れて一体何に使うんだ?と思うところだ。
なお、暗号資産を借りるためには自己の保有する暗号資産を担保として使用する必要がある。
お金がないから借りたいのに、担保をいれなければ借りられないなら意味がないじゃないか!と思うかもしれないが、暗号資産の持つ時価の変動という特徴を活かした色々な用途がある。
例えば、公式によれば以下のような使用例が示されている。
①法定通貨に替えて使う目的で借りる
例えばETHを預けている間にUSDTを借りることで、ETHの価格上昇傾向の恩恵を享受しながら法定通貨を利用することができる。
これは、おそらくETHでステーブルコインを借り入れてそれを売却して法定通貨にして使用し、その後に法定通貨でステーブルコインを購入して返済するということだろう。
②暗号資産を追加でロングするために借りる
例えばETHの価格が上昇すると考えているとする。
4,000USDTを借りるために10ETHを担保提供する。その後、Uniswapを使用して4,000USDTを6.7ETHに交換する。
上記の取引の結果、16.7 ETHを保有して 4,000USDTを借りている状態となる。
その後、ETH / USDTの価値が上がればC.R.E.A.M.に返済する4,000 USDTを支払った6.7ETH未満で買い戻すことができる。
その結果、借金を返済した上で超過したETHを利益として得ることができる。
③暗号資産をショートするために借りる
例えばCRVの価格が下がると考えているとする。
5,000CRVを買い入れ、10ETHを担保提供する。その後、Uniswapで当該5,000CRVを7ETHに交換する。
上記の取引の結果、17ETHを保有して、5,000CRVを借りている状態となる。
CRV/ETHの価値が下がればC.R.E.A.M.に返済する5,000CRVを7ETH未満で買い戻すことができる。
その結果、借金を返済した上で超過したETHを利益として得ることができる。
もちろんどちらのケースにおいてもETHが意図の逆に動くリスクもあるため、過度な借り入れは危険性がある。
担保のロジック
暗号資産を預け入れると、ウォレットにC.R.E.A.M.建てのトークン(債権トークン)が表示される。
例えばイーサであればcrETHと言った感じで、crXXX(XXXはティッカーシンボル)という名称のトークンである。
これは暗号資産の供給の持ち分を表しており、引き出すまでは利息を得ることができる。
この債権トークンの価格に以下の担保係数を乗じた結果が自分が借り入れることができる限度額となる。
つまり、借入をしたい場合には貸し付けた金額のうちの一定の範囲内までしか借りられないということだ。
例えば100USDTを供給し、USDTの担保係数が70%の場合にはいつでも最大70USDT相当の他の暗号資産を借りることができる。複数の暗号資産を供給している場合にはすべての担保要素を組み合わせて総借入限度額を計算する。
供給している暗号資産または借入している暗号資産の価格が変更された場合、”borrow limit used”の割合も変更される。
100%の借入限度額に達すると暗号資産の一定の割合(通常は50%)が、借入を返済するために強制的に清算または売却されてしまう。公式によれば、80%が借入の安全な上限であるとされている。
返済の準備ができたら、借りた暗号資産を返還し、提供した暗号資産をすべて引き出すことができる。
これで一巡の取引は完了となる。
実際に借り入れてみよう
まずはcreamにアクセスしてみよう。

ファミコンのようなレトロなデザインで、ある意味では今風でもある。
イーサリアムのガス代が異常なほど高騰しているので、今回はバイナンススマートチェーン(Binance Smart Chain , BSC)に接続する。
メタマスクにBSCのウォレットを追加する方法は以下の記事で解説しているので参考にしてほしい。

また、バイナンスコインを入手するためにはバイナンスで購入すると良い。
下記リンクからバイナンスに登録するとキックバック報酬が得られる(コミッションレート10%)。
次に、借入担保を作るために暗号資産を提供(貸付)する。
今回は8BNB(バイナンストークン)を入れてみよう。執筆時点では日本円にして約4,000円/BNBなので約3,2000円だ。

貸し付けたBNBのAPY(年利)はこの時点で9.52%なので、金利が一定であるのであれば、このまま放置すれば1年後には8.76枚になる。
但し、実際には金利は刻々と変動するのでこの通りになることはない。

続いて、担保提供をしてみよう。
Supply BalanceのCollateral(担保)のボタンをオンにしよう。

すると、以下のような警告文が出る。
これは前述のとおり、借入限度額が担保額を上回った場合強制決済される可能性があることに係る警告文である。

続いて、Bollow Balanceの通貨の中から借りたいものを選ぼう。
今回はビットコイン(Bitcoin)が上がると信じてUSDC(USDにペッグしたステーブルコイン)を借りて売却し、ビットコインを買う戦略を取る(追加のロング)。
USDCを200枚借りる。

Borrow Limit Usedは公式の警告通り80%を超えない程度の水準にした。
借入が完了すると以下のような表示なる。

続いて、pancakeswap(パンケーキスワップ)でUSDCをBTCBに交換する。
なお、BTCBはビットコインにペッグしたBSC上のトークンである。

取引が完了し、ウォレットを見てみると、下掲のようになった。
BNBの債権トークンとBTCBと若干余ったUSDCが残っている。

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