簿記と言えば仕訳を覚えると理解している人も多いのかと思うが、仕訳ってそもそもなんだろう?
仕訳とは何か
今日は仕訳について説明しよう。
簿記というのは、会社に関わる経済事象について貨幣的な影響を測定して記録して行く技術だ。
例えばこういうことを記録する。
- 販売用のカバンを1個あたり20,000円で、10個仕入れた。
- 販売用のカバンを1個あたり50,000円で、5個売り上げた。
- バイト君に給料を50,000円払った。
- 先月分の家賃を200,000円支払った。
- 今年分の保険料をまとめて年払いで支払った。
- チラシを刷るのに30,000円支払った。
- 事務所のパソコンを購入し、250,000円支払った。
- 事務所がタバコの不始末で燃えて建物がなくなった。
- 事務所が燃えたが保険金が入ってきた。
- 保険金で新しい事務所を建てた。
こんな感じで、会社で起こったカネが絡む話は「全て」仕訳として反映していかなくてはならない。
もう何もかもだ。
全部!
むしろ金に絡む話で1個でも漏れていたら失敗だ。
そうは言っても会社で起こる全てのことを記録するとか無理だろ!と思うかもしれない。
これが案外できるんだな。
学生にはわからないと思うけど、会社で何かを買う時って「申請書」とか「稟議書」とか書くだろ?
簡単に言うと、用紙にこういう理由で仕事で必要なので、こういうものを買いたいのでOKしてください!と書いて上司にハンコ押してもらうヤツだな。
簡単な経費の精算なんかは、とりあえず各々の従業員が立て替えておいて、後日精算するだろ。
ちなみにもっと巨額で大事な物を買うときは役員達が集まって「取締役会」で決めるんだ。
これで会社の費用を漏れなく集めつつ、会社の費用じゃない私的費用を承認しない(払ってあげない)ことで、会社に絡む金回りの話って漏れなく記録できるんだぜ。
借方?貸方?
簿記では必ず全ての取引は「借方」(左側)、「貸方」(右側)という様に、左右に分けて記録することになる。
これを「仕訳」という。
ちなみに、この借方とか貸方とかいう名称は、簿記を勉強する上で何の意味もない。
何も借りていないし、何も貸していない。
マジで1ミリも何も意味のない名称だ。
別にこれが借方じゃなくて例えば左側とか右側とかの名称でも良かったのだが、借方と貸方という名前がついてしまったので、その名前を覚えなければならない。
これは苦痛だが我慢しよう。
まあ強いて言えば簿記が日本に入ってきたときに福沢諭吉がDebitを借方、Creditを貸方と翻訳したのが始まりで、英語でそういう名前がついていたのも昔は合理的だった理由があるのだが、もはや今俺らが簿記をやる上では全く意味がないんだ。
だから考えない方が良い。
この借方・貸方の覚え方については、よく言われる話としては、ひらがなでかりかたの「り」は左を向いている、かしかたの「し」は右を向いているということで左が借方、右が貸方と覚えるのが覚えやすいと言われている。
しかしまあ、何で左側と右側にしなかったんだろうね。アホかな?
仕訳を見てみよう
そして、仕訳は例えばこう言う感じになる。
(売掛金)100,000円(売上)100,000円
この金額の前に付いている(売掛金)とか、(売上)というのは「勘定科目」と言って、簡単に言えば項目名だ。この項目が動きますという意味だ。
そして、上述の通り、左側が借方で右側が貸方であるため、借方売掛金10万円、貸方売上高10万円となる。
収益の増加は右側、資産の増加は左側なので、この仕訳は売上が10万円上がったので、売掛金(ツケで売り上げて取り立てる権利、お金を返してもらう権利)が10万円増えましたという意味だ。
普通ならここでもう脳が崩壊する。
これが当たり前に見えるようになるまでには時間がかかる。
理由は下記の通りだ。
- 勘定科目(ここでは売掛金と売上)の意味を理解できるようになるまでは何をしているのかの実感を持つことが出来ない。
- 資産・負債・純資産・収益・費用・利益の関係が理解できるようになるまではこれはこういうものと丸暗記するしかない。
意味もわからず丸暗記のままでは、簿記検定になんとか合格することは出来ても、無駄に時間ばかりかかるし、実務で使いこなせるようにはならない。
だが安心してほしい、必ずわかるように解説しよう。
とりあえず今日はここまで。
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