この記事の目的
NFTプラットフォームであるOVOの特徴・期待について解説する。
注意点
当記事は投資の勧誘を行う目的ではなく、投資の成果を保証するものではない。また、不正確な情報は随時更新する予定であるが、執筆時点で入手可能な情報をもとに筆者が解釈したものであり、情報の正確性を保証するものではない。
OVOとは、2021/7/3にローンチ予定のNFTプラットフォームである。
NFTとは何かについては以下の記事で詳しく解説しているので、参照してほしい。
なお、名称はthe Only Value Observation(唯一の価値測定)の略称であるようだが、OVOという文字列がマスコットキャラクターであるフクロウの顔のようにも見えるので、ここは掛けているのかもしれない。
プロジェクトのWhitepaper(ホワイトペーパー)は以下のリンク先にある。
当該プラットフォームはローンチ前であり未だ動作を確認することができないため、今回は主に当該ホワイトペーパーをもとに記事をまとめた。
OVOの概要
ホワイトペーパーによれば、OVOの主な特徴は以下のとおりである。
- 権利保護の仕組み
- 独自のギャラリー
- メタバース間の接続
- 有名な日本のIPの獲得
これらの特徴について、筆者の解釈を加えながら説明する。
権利保護の仕組み
OVOプラットフォームで取引されるNFTの著作権は、
- 二重著作権検査メカニズム(Dual Copyright Inspection Mechanism :DCIM)
- 第三者顧問団制度(有名ブランドの顧問及び権威のあるアーティスト連盟)
の2つの仕組みにより保護されている。
DCIMとは、
- IPの権利者と利用者の間で契約に基づいて認定NFTを発行する
- 認定NFTに基づいて著作権を発行する
という二段階のIP(Intellectual Property:知的財産)保護の仕組みのことである。
認定NFTに基づく全ての著作権および発行されたNFTやその分布情報はブロックチェーンに記録・開示されており、改ざんすることができない仕組みになっている。
また、DCIMは第三者顧問団制度がオフチェーンで契約の監視・認証を行うことにより補完されている。
このようなIPの権利保護の仕組みは、価値のあるNFTを発行・管理する際に最も大切なポイントである。
権利保護の仕組みのないNFTの現状
現状の規制のないNFT市場を見ると、人気作品のNFTがIPの権利者の許諾なく勝手に製造されて販売されている。
例えばNFTの発行に特に規制のないプラットフォームであるBakerySwapでは、例えば以下のような商品が出品されている。
これはポケモンのリザードンというキャラクターのカードのNFTであるが、説明書きに”This NFT is not affiliated with The Pokemon Company, Creatures Inc or Gamefreak.”とあるように、権利者の許諾を得ずに発行されている。
このようなNFTには何も権威性がなく、当然価値もない。
その証拠に当該NFTは低額で出品されているにもかかわらず、発行者と所有者は同じまま、つまり販売された実績がない。
このような価値のないNFTが並べられているマーケットプレイスも価値がないため、はいずれ淘汰されることとなるだろう。
独自のギャラリー
OVOは独自のギャラリーである現代美術館メタアーティア(Metaartia)を運営する。
メタアーティアはスマートコントラクトによって制御されたWeb上の美術館で、ここで作品の展示や販売が行われる。
もちろんこれらの作品の権利は前述のDCIM・第三者顧問団制度により保護されており、アーティスト等は権利保護の煩雑さから解放され、ユーザーと直接的に取引を行うことができる。
2021-2022にかけてver2.0ではVR、OVO ver3.0ではメタバース(Metaverse)への対応が予定されており、未だに「スクショで良くね?」と言われるNFTの所有に対する価値観や利用シーンも変わってゆくことだろう。
メタバース間の接続
メタバースとは仮想空間のことで、2003年にローンチしたセカンドライフがルーツである。
仮想空間においてアバターや景観、建物などをユーザーが自由に製作・譲渡を行うことができ、イベントなどが開催されている。
最近ではフォートナイトや暗号資産(仮想通貨)を組み込んだディセントラランド(Decentraland)などが人気である。
OVO ver3.0で導入が予定されているHermes(ヘルメス)クロスチェーンにより、メタバース間でのNFTの流通が予定されているとのことである。
つまり、特定のブロックチェーン上のメタバースと同じブロックチェーンの他のメタバース間の接続だけでなく、他のブロックチェーン上のメタバースとも接続できるようになるということである。
閉鎖的なメタバースの顛末
ところで、日本ではソーシャルゲームが相変わらず人気であるが、ユーザーが離れて運営が立ち行かなくなるとサービス終了し、せっかく課金して獲得したアイテムはすべて失われてしまう。
このリスクに対してユーザー側が対応できる方法はない。
このような損失は日常的に発生しており、例えば以下のアークザラッドRというサービスが2021/6/30をもって終了した。
このゲーム内で課金することで得たキャラクター・アイテムはすべて失われることとなる。
このゲームをメタバースと呼ぶには異論があるかもしれないが、どのようなメタバースのプロジェクトであれ、これと同じリスクを抱えている。
将来的にメタバース間でのアイテムのが共通化されることで、メタバース間で自由に持ち運びができるようになれば、このような不都合もなくなるかもしれない。
有名な日本のIPの獲得
IPの価値はNFTプラットフォームの価値を測る上では非常に重要な要素となる。
例えば非常に話題となったNBAのIPを利用したサービスであるNBA TOP SHOTでは2,000万円以上の価格が付いて取引された実績のあるNFTもある。
これは、当該プロジェクトがNFTブームの先駆けだったこともあるが、NBAが築き上げたIPの価値が反映されていることによる影響が大きいだろう。
OVOでは前述のメタアルティアに出品される作品もさることながら、Coinspeakerのリリースを見ると、かなり著名な作品のIPの利用交渉が進んでいるようである。
上記のリリースに以下のような記載があった。
OVO is negotiating with major IPs such as Dragon Ball, One Piece, Naruto, Yu-Gi-Oh, Saint Seiya, JOJO’s Bizarre Adventure, Hatsune Miku, etc., and will continue to disclose relevant information in the future.
ドラゴンボール、ワンピース、遊戯王、聖闘士星矢、ジョジョの奇妙な冒険、初音ミクと言えばどれも日本を代表するようなアニメ・漫画作品等であり、これらの作品のNFTが登場すればかなり盛り上がるプラットフォームになると考えられる。
また、LINEスタンプで400万ダウンロードを超えた「にゃっちーず」のIPは既に獲得しているようで、オークションとエアドロップの予定がある。
このようにOVOは日本の有名IPが特に目に付くが、ご存じのとおり日本のコンテンツ産業はとても強い。
OVOは、VIV3やSuperRareのような高尚なアートのプラットフォームとも違う、BakerySwapやOpenSeaのような有象無象でも何でもアリなプラットフォームとも違う、強力な日本の有名IPが中心の新しいプラットフォームとなるだろう。
なお、日本のプロジェクトでも日本の有名コンテンツを活かしたいという思想のプロジェクトはいくつも存在するが、日本の有名IPを自由にパブリックチェーンで展開できているプロジェクトは未だ確認できていない。
ガバナンストークン
OVOのホワイトペーパーにはガバナンストークンの発行予定の記載があり、プラットフォームとして成功した場合には大きなリターンも期待できるだろう。
ガバナンストークンとは、発行体のプロジェクトの今後の方針の決定に参加したり、プラットフォームを有利に利用したりする権利が得られるトークン(暗号資産)である。
一般的にはSeedラウンドで暗号資産ファンド等が購入し、その資金を使ってプロジェクトを進め、取引所上場前にコミュニティセール等の名称で一般投資家が購入する機会が与えられる。
これがいわゆるICOと呼ばれる売出しである。
現状はICO予定が示されていないので、しばしば公式サイトをチェックすると良いだろう。
Airdropの概要
OVOでは2021/7/3までの期間でエアドロップを実施している。
当該エアドロップキャンペーンでは、にゃっちーずのNFTカードを入手するチャンスがある。
当該エアドロップに参加するためには上記のウェブサイトにメタマスク等を利用してBSC(Binance Smart Chain:バイナンススマートチェーン)で接続する必要がある。
メタマスクを利用してBSCに接続する方法は以下の記事で解説しているので、こちらを参考にしてもらえればと思う。
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